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収納計画は間取りより先に考えるべき理由
注文住宅の打ち合わせが始まると、多くの人が真っ先に気になるのは間取りです。「広いリビングにしたい」「吹き抜けを作りたい」「アイランドキッチンに憧れる」など、理想の暮らしを思い描きながらプランを考える時間はとても楽しいものです。私自身も、家づくりを始めたころは間取りばかりを見ていて、収納については「あとで考えればいいだろう」と思っていました。
しかし、実際に暮らし始めて気付いたのは、毎日の暮らしやすさを左右するのは、間取り以上に収納計画だったということです。どれだけ見た目がおしゃれな家でも、物があふれてしまえば生活感が出てしまいますし、必要なものがすぐ見つからないストレスは毎日積み重なります。
収納は、単純に「たくさん作ればいい」というものでもありません。重要なのは、どこに、何を、どれくらい収納するかを考え、その場所に合った収納を設計することです。例えば、玄関には靴だけではなく、ベビーカーやゴルフバッグ、アウトドア用品、子どもの外遊びグッズなどを置く家庭もあります。キッチンには食品だけでなく、ホットプレートやミキサー、保存容器、非常食など、意外とたくさんの物があります。
つまり収納とは、「物をしまう場所」ではなく、「暮らしを整える仕組み」なのです。収納計画を後回しにすると、完成後に収納家具を買い足すことになり、せっかく広く取った部屋が狭く感じたり、生活動線が悪くなったりする原因になります。
注文住宅は自由設計だからこそ、収納まで含めてゼロから計画できます。間取りを考える前に、「どんな生活を送りたいのか」「何をどこで使うのか」を整理しておくことで、本当に住みやすい家が完成します。
後悔した収納ベスト3
実際に暮らしてみて、「もっとこうしておけばよかった」と感じた収納がいくつかあります。どれも図面を見ているだけでは気付きにくいポイントでした。
① 洗面所の収納が足りなかった
洗面所は毎日使う場所ですが、想像以上に収納する物が多くあります。タオルや洗剤、シャンプーのストック、ティッシュ、ドライヤー、掃除用品、家族それぞれのスキンケア用品など、気付けば収納がいっぱいになっていました。
洗面台だけでは収納量が足りず、結局ラックを追加購入することになり、せっかく広く感じていた洗面室が少し窮屈になってしまいました。最初から可動棚やリネン庫を設けておけば良かったと今でも感じています。
② リビング収納を作りすぎて動線が悪くなった
「収納は多いほど安心」と考え、リビングに大きな収納を設けました。しかし収納を優先した結果、通路幅が狭くなり、人がすれ違いにくい間取りになってしまいました。
収納量だけを重視すると、生活動線を圧迫してしまうことがあります。収納は必要ですが、歩きやすさや家具配置とのバランスも同じくらい重要でした。
③ 玄関クロークの奥行きを深くしすぎた
玄関クロークは広ければ便利だと思い、奥行きを深めに設計しました。しかし実際には奥にしまった物が取り出しにくく、「とりあえず奥へ」という収納になってしまいました。
結果として、何をしまっているのか分からなくなり、同じ物を買ってしまうこともありました。収納は広さだけではなく、「見渡せる」「取り出しやすい」「戻しやすい」という使いやすさが何より大切だと実感しました。
やってよかった収納アイデア7つ
一方で、「これは作って正解だった」と思える収納もたくさんあります。実際の生活で特に役立っている7つをご紹介します。
① キッチンにパントリーを設けた
食品ストックや飲料、調理家電をまとめて収納できるため、キッチンが散らかりにくくなりました。まとめ買いもしやすく、防災用品の保管場所としても活躍しています。
② 子ども部屋のクローゼットは可動棚にした
子どもの成長によって収納する物は変わります。小さい頃はおもちゃ、小学生になれば教科書、中高生になれば衣類や部活動用品など、必要な収納は変化します。可動棚なら、その時々に合わせて自由に高さを変更できるため、長く使えます。
③ 玄関土間を広めにした
アウトドア用品やベビーカー、自転車用品などを室内に持ち込まず収納できるため、とても便利です。雨の日でも濡れた物をそのまま置いて乾かせるので、使い勝手が大きく向上しました。
④ 洗面室に家族分のタオルと下着を収納できるスペースを作った
お風呂上がりの動線がとてもスムーズになりました。洗濯が終わったら、その場で収納まで完結するため、「洗う・干す・しまう」の流れが短くなり、毎日の家事時間を短縮できています。
⑤ リビング収納は「一時置き場」として設計した
学校から持ち帰ったプリントや郵便物、充電器、薬など、一時的に置いておきたい物は意外と多くあります。そのため、リビング収納は長期保管ではなく、「すぐ使う物」の収納として考えたことで、リビングが散らかりにくくなりました。
⑥ 階段下を掃除用品収納にした
掃除機やモップ、ロボット掃除機の基地として利用しています。家の中心付近に収納することで、どの部屋も掃除しやすくなりました。
⑦ ランドリースペースにカウンターを設けた
洗濯物をその場で畳めるだけでなく、アイロン掛けや一時置きスペースとしても活躍しています。洗濯動線が短くなり、家事効率が大幅にアップしました。
収納計画で失敗しないためのポイント
収納計画を成功させるためには、「収納率○%」のような数字だけを見るのではなく、実際の暮らしを具体的にイメージすることが大切です。
例えば、朝起きてから出勤・通学するまでの流れ、帰宅してから寝るまでの流れを書き出してみると、「ここに収納が欲しい」「ここには棚はいらない」ということが見えてきます。
また、季節用品や来客用布団、クリスマスツリー、扇風機、加湿器など、普段は使わないけれど保管場所が必要な物も忘れがちです。こうした物まで考えて収納を計画すると、完成後に「しまう場所がない」という後悔を減らせます。
収納は家族構成の変化も考慮しておくことが重要です。子どもが増えたり、趣味が変わったり、在宅ワークが増えたりと、暮らしは少しずつ変化します。可動棚や余裕のある収納スペースを取り入れておくことで、将来にも柔軟に対応できます。
これから家づくりをする人へ
収納計画は、「何をどこに・どのくらい持っているか」を棚卸しするところから始めてみてください。今の住まいを見渡し、「これは毎日使う」「これは季節だけ使う」「ほとんど使っていない」と分類するだけでも、本当に必要な収納量が見えてきます。
さらに、モデルハウスや完成見学会では、収納の広さだけを見るのではなく、「実際に物を出し入れしやすいか」「生活動線に合っているか」という視点で確認してみてください。引き出しを開けたり、棚の高さを見たり、自分が暮らしている姿を想像しながら見学すると、多くの発見があります。
注文住宅は、一度建てると簡単にはやり直せません。だからこそ、見た目のデザインや間取りだけではなく、収納まで含めて暮らし全体を設計することが大切です。
収納が暮らしに合っている家は、片付けがしやすく、掃除もしやすくなります。そして、家族全員が自然と物を元の場所へ戻せるようになり、きれいな状態を無理なく維持できます。
家づくりでは、「収納は最後に考えるもの」ではありません。「毎日の暮らしを快適にするための土台」と考え、早い段階からしっかり計画することが、後悔しない住まいづくりへの近道になるでしょう。